若い鍼灸師の皆さんへ、
今日は、私たちの仕事にとって非常に意義深い一冊の本を紹介したいと思います。デイビッド・エプスタイン著の『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』という本です。
この本は、私たち鍼灸師の仕事の本質を深く理解するのに役立つ内容になっています。
鍼灸の世界では、特定の技術や手法に特化することの重要性がよく強調されます。しかし、この本が教えてくれるのは、むしろ幅広い知識と経験こそが、複雑な問題を解決する上で重要だということです。
私たちの仕事は、まさに「不親切な学習環境」の典型です。患者さんそれぞれの症状は千差万別で、その背景にある原因も多岐にわたります。そのため、一つの手法や知識だけでは対応しきれないことが多いのです。
皆さんは、これまでの学習や経験の中で、様々な技術や知識を身につけてきました。時には、「この勉強は役に立つのだろうか」と疑問に思ったこともあったかもしれません。しかし、この本が教えてくれるのは、そういった一見無駄に思える知識や経験こそが、実は最も価値があるということです。
皆さんがこれまで積み重ねてきた多様な学びや経験は、決して無駄ではありません。むしろ、それらは皆さんの強みになるのです。だからこそ、自信を持ってその能力を発揮してください。
私たちの仕事は、単に症状を取り除くだけではありません。患者さんの生活全体を見渡し、身体と心のバランスを整えることが求められます。そのためには、鍼灸の技術だけでなく、栄養学、心理学、運動生理学など、幅広い知識が必要になります。
この本が提唱する「レンジ」の概念は、まさに私たちの仕事の本質を表しています。患者さんそれぞれの複雑な状況に柔軟に対応し、最適な治療を提供するためには、幅広い知識と経験が不可欠なのです。
最後に、この本の教えを実践し、さらに高めていくのは、私たち一人一人です。ぜひ、この本を読んで、自分の中にある多様な知識や経験の価値を再認識してください。そして、それらを統合し、さらに幅を広げていく努力を一緒に続けていきましょう。
私たちには、患者さんの健康と幸せに貢献するという素晴らしい使命があります。その使命を果たすために、互いに学び合い、成長し合える仲間がいることを誇りに思います。
これからも一緒に、私たちの「レンジ」を広げ、より良い治療を提供できるよう頑張っていきましょう。
皆さんの努力と成長を心から応援しています。
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